STATEMENT

私は“子供”と“大人”の境界線の中でおこる問題について作品にしています。

幼い頃、大人のふりばかりしてきた子供たちは、成長するにつれ、むしろ大人になりきることが難しくなります。それでも大人になってしまえば、みんなと同じ世界に生きるしかありません。たとえ、心の中に子どもの頃の自分が住みついていたとしても。ですから“大人のような子ども”も時がたてばいずれ“子どものような大人”になります。

私の作品で登場するぬいぐるみは「捨てることができなかった心の中の子ども」そのものです。ぬいぐるみは、誰しも一度は触れたことがあると思います。ですが、成長していく過程でほとんどの人がぬいぐるみを手放していきます。それは、たしかに自身が成長していっているという証です。

私はそれらをずっと捨てきれずにいます。捨てることができず大量に増えてしまったぬいぐるみには、一時的な安心感といくつ増えても満たされない心にある種の恐怖を覚えました。また、捨てられないぬいぐるみは過去の出来事にこだわり、忘れることのできない自分自身と全く一致していると感じました。

長年それらを捨てることばかり考えて過ごしてきました。けれども、その考え方自体が間違っているのではないかと、制作を通して気持ちが変化していきました。私が今まで無理にでもぬいぐるみを捨てたいと思っていたことは、幼いころの自身をすべて捨てたかったからであり、過去の自身の存在を否定してしまいたかったからでした。この気づきは、私にとって大きなものでした。

「昔、自分が感じたことを否定せずに受け入れていく。」それが私の制作の根本です。

このメッセージは、現代社会の中で生きづらさを感じている人に向けて送りたいと思います。


濱元祐佳